心理カウンセラーの厳しい倫理観と求められる守秘義務について

 心理カウンセラーは、クライエントの相談を受け話を聞くところから始まる仕事なので、相談者の個人的事情や秘密を知ることが多い職業です。

しかし、業務上で知り得た個人の秘密は倫理綱領に於いて第三者に漏らすことは禁止事項になっていますので特に注意が必要です。

心理カウンセラーの守秘義務とは

 守秘義務とは仕事上に於いて、他人の秘密や個人情報を知りえた者が、第三者にその秘密を漏らしたり喋ったりしないように守る義務のことです。

業務上で知りえた秘密を正当な理由なく、他人に漏らした場合は、刑法第134条の秘密漏洩罪で罰せられことになります。

 特に心理カウンセラーは、クライエントのプライバシーに直接関わる仕事ですので、病気や精神障害など健康上のこと、妊娠・出産・浮気など夫婦関係に関すること、その他にも失恋・学歴・前科・家庭内暴力など、様々な個人の事情を知ることが多い職業です。

ですが、他人にそれらの秘密を漏洩させるような事をしてしまえば、個人に対して人権侵害を及ぼし、さらにはクライエントとの相互信頼関係(ラポール)が失われカウンセリングや的確な臨床が出来なくなってしまいます。

 カウンセリングはクライエントとの相互信頼関係が前捉として成り立っているので、心理カウンセラーは、他人のプライバシーや秘密についての取り扱いは特に注意し配慮する必要があります。

また、臨床事例の発表や記録の保管などについても同様です。

守秘義務の例外事項とは

 守秘義務は、カウンセラーが絶対遵守すべき内容ですが例外事項もあります。

それは、例えば日本心理臨床学会の第6条の倫理基準には、
心理臨床学会の会員は、対象者本人又は第三者の生命が危険にさらされるおそれのある緊急事以外は、対象者の個人的秘密を関係者に伝えてはならない。」と規定しています。

 この規定を注意深く解釈すると、対象者本人又は第三者が暴力や児童虐待、自殺や殺人など命に関わる危険性があるような「緊急事態」の場合は、守秘義務の例外事項に該当するということです。

このような場合は、警察や専門家、家族などと協力し合い、クライエントなどが命を落とさないように守る責任があるので、カウンセリング中でも対処すると共に、守秘義務をあえて破ることも必要になります。

また、クライエントにはカウンセリング開始前に、その旨をはっきりと告知しておくことが望ましいでしょう。

心理カウンセラーの倫理意識について

 クライエントから心の悩みや問題について相談を受けるような職業の場合、重要条件として厳しい倫理観を持つという事が心理カウンセラーには求められますが、特に守秘義務については最も重要になります。

 カウンセリングで業務上知りえたクライエントの個人情報や秘密を他人に漏らしてはいけないということは今更言うまでもありません。

カウンセリングではクライエントが他人に話さなかったような秘密を聞くことになるので、うっかり他人に漏らすことはクライエントとの信頼関係を破綻させ、法律上の責任も追及されることになります。

 また、心理カウンセラーは業務上で個人の秘密を知ってしまった場合、まず第一に考えるべきことは、「その秘密には、人の命が脅かされるような危険性があるかどうか?」ということだと思います。

危険性が無い場合は、当然、秘密保持の厳守が必要ですが、危険が有る場合は、守秘義務の例外事項となり、警察や専門家、家族などの協力を得ながら予防措置を講じる必要があります。

カウンセラーとクライエントの私的な関係はタブー

 他人の心に深く関わるのが心理カウンセリングという職業の宿命ですが、それだけにクライエントとカウンセラーとの関係はどうしても親密になりがちです。

とは言っても仕事なので、カウンセリングとカウンセラーの私生活とを公私混同することなく明確に切り分ける必要があります。

この意識をしっかり持っておかないと、プロとして仕事が成立しないだけでなく、人間関係で感情的なトラブルに発展する可能性もあり得ます。

カウンセリング期間中は当然クライエントとの私的関係はタブーで、カウンセラーとしての倫理観から外れる行為だと考えられています。

日本の心理カウンセリング業界では現在、公に論じられていませんが問題を秘めた懸案事項とも言えます。

アメリカの心理カウンセラーの倫理観とは

 最低限の倫理イコール法律とも言われますが、日本には心理カウンセラーを直接規制する法律はないので、ほとんどの心理カウンセラー団体では独自に会員倫理について規定しています。

一方、海外に目を向けるとアメリカの心理カウンセラーは、カウンセラー倫理や裁判の判例に基き、厳しい姿勢で徹底して学習しています。

なぜなら、アメリカの場合はクライエントから損害賠償請求されるケースもあり、リスクヘッジに備えて倫理観を養うと共に損害賠償保険に入るカウンセラーも多くいます。

心理カウンセラーの倫理観を学ぶには

 カウンセリングの特徴や職業倫理を理解し、最終的にはカウンセラーの個別的・具体的な倫理的判断が必要になります。

1.心理カウンセリングの特徴を理解する
  • 個人の私生活に深く関与する。
  • クライエントとカウンセラーは心と心の結びつきが強くなる。
  • クライエントに対して強い影響力をもつことになる。
2.厳しいカウンセリング職業倫理を養う
  • 守秘義務を理解する。
    ・私的な関係をクライエントとはもたない
    ・必要以上の影響力をクライエントに対して行使しない
  • 守秘義務の例外事項を理解する。
    ・クライエントが自分を傷つけたり、他人を傷つける危険性がある
    ・第三者から依頼されてカウンセリングを行っている
    ・十分な判断力がクライエントにはない
    ・カウンセラー以外の立場もクライエントに対してある

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