心理療法の力動論・行動論・体験論の3つのアプローチ方法について

 心理療法の技法には、多くの種類がありますが、大きくは次の3つに分類できます。
  1. 力動論的アプローチ
  2. 行動論的アプローチ
  3. 体験論的アプローチ

因みに、心理学でいうアプローチは、学問・研究などの対象に接近すること。

または、接近のしかた・研究法などの意味があります。

力動論的アプローチ

 フロイトの精神分析療法の流れをくんでいるものが力動論的アプローチです。

力動論的アプローチは、人の心の構造・メカニズムを仮定して、治療を無意識から試みるという心理療法になります。

人の心にはエス、超自我、自我が存在し、人間の心理はそのメカニズムで成り立っているとフロイトは提唱しています。
  • エス…本能エネルギーで自分では意識できない性欲動や攻撃性などがある。
  • 超自我…エスを抑制する働きがあり幼少期に形成された倫理や道徳で成り立っている。
  • 自我…人間の行動を司るもので外界からの刺激やエスと超自我との要求とを調整している。

人は表面の意識だけで行動を変えることは難しく、それは無意識的な領域をエス・超自我・自我がいずれも含むためです。

そのため親子関係や幼少期の体験などを分析し、エスや超自我の葛藤をクライエント自身に理解させることで、力動論的アプローチでは、問題の解決を試みようとします。

行動論的アプローチ

 問題を解決するために表面に現れる行動を変容させることを目的としたもの行動論的アプローチです。

 先ほどのフロイトの精神分析療法からくる力動論的アプローチでは、無意識などの心的メカニズムに基づき心理療法を行うので常に非科学的であるという批判がつきまといます。

一方、行動論は、目に見える行動だけを扱い、心の構造など科学的に立証しにくいものは扱わないので、科学的なアプローチだといえます。

 幼児期からの習慣と学習による結果がクライエントの問題に影響しているのだと行動論では考えます。

問題を解決するには、外界からの刺激に対して起きる不適切な反応を修正するために、新たに学び直し再プログラミングすることで改善されるとしています。

体験論的アプローチ

 体験論的アプローチでは、クライエントが抱える問題は今起こっているのだから、過去より現在の自分に焦点を当て改善しようと試みます。

この点が問題の発生原因が過去にあるとする力動論や行動論との違いです。

 実際、過去に体験したトラウマなどが見つかったところで、現在の問題解決が進捗しないという事例が力動論的アプローチでは起こっています。

その点、体験論的アプローチでは、クライエントの変容を促すため過去に原因を求めず、今抱えている心の葛藤の正体を把握することで改善していくことを目的としています。

クライエントが肯定的に自分自身をとらえ、今の感情に気付いたりできるようにカウンセラーは援助していきます。

3種類のアプローチの違い

 力動論、行動論、体験論でのアプローチの仕方で、クライエントが「人前に出るとうまく話すことができない」という悩みを抱えている事例では、それぞれ次のような違いがあります。

アプローチ 目的 問題・症状 面談方法
力動論的
アプローチ
葛藤や症状の理解を促す ・クライエントは超自我が強いようで、何をするにもおどおどしてしまう。

・父親から子どもの頃にしかられた体験か影響している?

カウンセラー:
お父さんとの関係は子どもの頃はどうでしたか?

クライエント:
父は厳しくよく叱られました。

行動論的
アプローチ
不適切な反応の仕方を修正する ・赤面という症状を人前という刺激に対した場合に反応するよう学習して固定化してしまっている。

・人前で赤面するという恥ずかしさから、口か動きづらくなる。

カウンセラー:
私と一緒にこれから少しずつ練習して慣れていきましょう。

クライエント:
人前に対すると赤面して、うまく話せません。

体験論的
アプローチ
ありのままの自分を認められるように援助する。 ・上手に話せる自分になるのが理想だか、現実は違う。

・問題を引き起こしているのは、赤面する自分を責めることが原因だ。

カウンセラー:
人前に出るとうまく話せない自分をどう感じますか?

クライエント:
そんな自分は情けなく、ダメな人間だと思ってしまいます。

◆下記リンク先サイトでは、全国で開講されている心理カウンセラー講座受講料、受講期間、学習コース(土日・夜間)、開講場所などを一覧比較し、一目で確認できます。

希望する講座があれば、いくつでも無料資料請求し、最新の受講日程を確認できます。

全国の心理カウンセラー講座を一覧比較し、無料資料請求・最新受講日程を確認する

関連ページ

心理療法とカウンセリング
心理療法とカウンセリングとは何か、またその方法について解説しています。
心理療法・カウンセリングの基礎
心理療法・カウンセリングの基礎であるラポール・転移・面接の構造化について解説しています。
心理療法の三大理論とその特徴
心理療法に於ける三大理論の技法と特徴について解説しています。
面接法の技法と内容
心理療法の基本である面接法の技法とその内容について解説しています。
精神分析療法の技法と内容
心理療法の一つである精神分析療法の技法とその内容について解説しています。
行動療法の技法と内容
心理療法の一つである行動療法の技法とその内容について解説しています。
来談者中心療法の技法と内容
心理療法の一つである来談者中心療法の技法とその内容について解説しています。
認知行動療法の技法と内容
心理療法の一つである認知行動療法の技法とその内容について解説しています。
夢分析の技法と内容
心理療法の一つである夢分析の技法とその内容について解説しています。
交流分析の技法と内容
心理療法の一つである交流分析の技法とその内容について解説しています。
催眠療法の技法と内容
心理療法の一つである催眠療法の技法とその内容について解説しています。
内観療法の技法と内容
心理療法の一つである内観療法の技法とその内容について解説しています。
作業療法の技法と内容
心理療法の一つである作業療法の技法とその内容について解説しています。
森田療法の技法と内容
心理療法の一つである森田療法の技法とその内容について解説しています。
箱庭療法の技法と内容
心理療法の一つである箱庭療法の技法とその内容について解説しています。
芸術療法の技法と内容
心理療法の一つである芸術療法の技法とその内容について解説しています。
遊戯療法の技法と内容
心理療法の一つである遊戯療法の技法とその内容について解説しています。
ゲシュタルト療法の技法と内容
心理療法の一つであるゲシュタルト療法の技法とその内容について解説しています。
グループ療法の技法と内容
心理療法の一つであるグループ療法の技法とその内容について解説しています。
家族療法の技法と内容
心理療法の一つである家族療法の技法とその内容について解説しています。
短期療法の技法と内容
心理療法の一つである短期療法の技法とその内容について解説しています。
薬物療法の技法と内容
心理療法の一つである薬物療法の技法とその内容について解説しています。
自律訓練法の技法と内容
心理療法の一つである自律訓練法の技法とその内容について解説しています。
グリーフ・セラピーの技法と内容
心理療法の一つであるクリーフ・セラピーの技法とその内容について解説しています。
フォーカシングの技法と内容
心理療法の一つであるフォーカシングの技法とその内容について解説しています。
条件付けの技法と内容
心理療法の一つである条件付けの技法とその内容について解説しています。
アサーションの技法と内容
心理療法の一つであるアサーションの技法とその内容について解説しています。
エンカウンターの技法と内容
心理療法の一つであるエンカウンターの技法とその内容について解説しています。

心理カウンセラー
資格種類・試験内容
心理カウンセラー
資格講座・学校
心理カウンセラー
職場・仕事内容
心理学
基礎知識
心理アセスメント
流れ・手法
心理療法
種類・特徴・技法