家族療法の技法・内容・手順 - 心理療法

 心理療法は、一般的に個人のクライエントを対象して実施されますが、家族療法では家族を1単位として全体的な観点で捉え、家庭内にシステムズ・アプローチして問題を把握し改善していこうとする心理療法です。

システムズ・アプローチとは何か

 システムとはビジネス分野でもよく使われる言葉ですが、互いに影響を与え作用し合う要素(業務・仕事)が複数合わさった全体像(複合体・統一体)を指します。

例えば、家庭内において家族各個人に様々な心の問題が発生した場合は、個人の問題ではなく家族を統一体として捉え、そのシステムがうまく回っていないことが原因で個人にその影響が及んでいるというようにシステムズ・アプローチでは捉えていきます。

よって、各個人に起こる心の問題が、家庭内システムに起因して発生している結果であるならば、そのシステムを変更するなり、改めることで家族個人に起こっている心理的問題を解消できるものと考えていきます。

このような心理的問題を抱えているクライエントのことを家族療法では、みなし患者(IP:Identified Patient)と言います。

なぜなら、各個人が抱える心の問題を解決するには、個人だけを対象にして治療を行っても必ず解決されるものではないという事です。

基本的な家族療法に対する考え方について

 家族療法に対する基本的な概念や捉え方については、日本の家族療法の第一人者であった心理学者の鈴木浩二が次のように説明しています。

  1. 全体性や統一性が家族システムには存在しているので、みなし患者(IP)の心的問題を解消する為には、本人個人ではなく家族システムそのものの変更や改善が必要となります。
  2. 個性を持った個人が家族として単に集合しているのではなく、それ以上の性質が家族には存在しています。
  3. 家族システムを維持するために、家庭内で大きく現状変化をもたらすような出来事に対しては抵抗しようとする働きがあります。
  4. 家族に問題が発生した場合は、一方向的なものではなく循環的な因果関係にあります。
  5. 家族個人の言動に捉われるのではなく、家族システム内で影響し合う相互作用の観点から、そのプロセスを注視していくことが重要です。
因果論について
一方向的因果論とは
  1. 原因:子供に対して母親の過干渉・過保護。
  2. 結果:不登校になる子供。
循環的因果論とは
  1. 母親が子供中心でべったりした生活を送る。
  2. 家庭内に於いて父親が疎外感を感じる。
  3. その結果、家庭や子供を放置して父親が仕事などに没頭していく。
  4. 母親がそんな父親に失望する。
  5. 子供に対して母親が過保護・過干渉になる。
  6. 子供(IP)が母親をうっとしく感じだし不登校になる。
  7. 母親は不登校になった子供(IP)を心配して、さらに子供に過度に関わる(1項)。

 子供(IP:みなし患者)が上記ような悪循環から抜け出し変化するためには、家族システム自体の変化が不可欠で、家族療法においては、家族全員に中立な態度をとるよりも、全員に力を貸したり支援することが良いとされています。

代表的な家族療法の理論とは

コミュニケーション派の理論とは

 家族間におけるコミュニケーションの仕方に着目したものがコミュニケーション派と呼ばれる理論です。

特に家族内でのコミュニケーションで大きな問題となるものに、ダブルバインド(二重拘束)コミュニケーションがありますが、これは、精神医学研究者であったグレゴリー・ベイトソンが提唱した理論になります。

 ダブルバインド(二重拘束)コミュニケーションとは、
例えば子供を父親が叱る場合、父親が「お父さんは怒っていないからこっちへ来なさい!」と子供に言いながらも、怒っていることが明らかにわかる態度を見て、子供はどちらが父親の本心なのかわからず精神的に混乱するようなコミュニケーション方法を言います。

語っている言葉と、顔の表情や声のトーンなどの態度とが異なっており、どちらのメッセージを信用すればよいのか迷い子どもが混乱してしまう状況に追い込むことになります。

家庭内で上述したようなコミュニケーションを何回も繰り返して行っていると、やがて健全な心の成長が阻害されて子ども自身に心理的問題が発生する原因になります。

構造派の理論とは

 家族の構造に着目したものが構造派派と呼ばれる理論です。

構造上、親子間において、はっきりとした境界線が親と子の間に線引きされていない場合に不健全な家族関係が生まれるということをアメリカの児童精神科医であったサルバドール・ミニューチンが主に提唱しました。

 具体的には、親子と言えども精神年齢の幼稚な親や、逆に精神的に大人のような考え方ができる子供も世間には存在します。

このような家族構成の場合、時には親としての果たすべき役割を親が放棄し、子どもに甘えるような親も実際いるわけで、そうなると親と子どもの役割が逆になるケースもあり、どちらが親でどちらが子供かが全くわからなくなり明確な境界が存在しなくなります。

また、子どもが思春期の年代になっているにも関わらず、心配のあまり親が子供の言動にいちいち干渉するのは、親子間の境界を不明確にする行為だと考えられています。

 本来、境界線というものが親子間には存在すべきであり、親と子の役割を逆転して互い担ったりする状況に陥ると、いろいろな間題が家庭内で発生することになります。

以上のような環境に育った子どもは、往々にして心に問題を抱えやすいと言われています。

但し、問題が家族システムにあるからと言って、全て親だけに責任があるとは言い切れず、家系的に代々問題が引き継がれているケースも少なくありません。

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