短期療法の技法・内容・手順 - 心理療法

 心理療法を行う際に、治療効果を効率的に短期間で達成できるようにするために、治療の目標地点を具体的に設定して行う治療方法を総称して短期療法(ブリーフ・セラピー)といいます。

短期療法とは何か

 短期療法では、治療効果を短期間に達成することを目標にして、治療回数や治療期間をあらかじめ設定しておき心理療法を実施していきます。

一般的な心理療法では、クライエント個人の心の問題を解消するまでには、3年以上の年月を要する場合も珍しくありません。

一方、短期療法は、多くても10回以内で治療が終えられるようにすることを目標にしています。

 短期療法が誕生した背景には、アメリカ社会の保険制度が影響しており、保険の限度内で治療するにはその回数に上限があるので、短期間で効率的な治療方法がないか探し求めた結果に考え出されたという歴史があります。

短期療法の特徴とは

 短期療法に共通した考え方には、次のよう特徴があります。

  1. クライエントの心の問題を解決することを人格変容より優先し治癒を目指す。
  2. 治療手段として積極的・能動的な技法を共感的・受容的な技法よりも主として活用する。
  3. 単に一つの原因により問題が起こっているのではないので安易な原因追及は行わない。

 上記3項の特徴については、システムズ・アプローチ(家族療法理論)が短期療法の根幹になっており、本来、循環的な因果論により多くの問題が発生している限り、一方向的な因果論から原因を探っても本当の意味での解決にならないという考え方があります。

よって、将来に焦点を当てそれを足がかりにして、システムのある部分を改めさせて問題を改善していこうと試みる手法が短期療法では多く用いられています。

また、問題を本当に解決するには、原因探求を行うだけでは達成できないという批判的アプローチの立場をとっており、原因を探り当てることに重点を置いて治療を行う一般的な心理療法とは大きく異なっています。

短期療法は、狭く限定的な考え方では家族療法を意味しますが、広い意味で捉えると、効率的に治療を行うことを目的とした心理療法である認知行動療法や治療前にカウンセリング回数や治療期間を明示して実施する時問制限療法など全体を指し示す場合もあります。

効率的に短期間で治療を行う方法とは

 治療の最終目標を明確にするような質問が短期療法では多く用いられ、この心理療法が終了すれば、その時点で、最初と何が変化したのかを、クライエントに具体的に思い描いてもらいます。

クライエントの初回面接で、「些細な問題でも、すぐにくよくよ悩んでしまう自分の性格を直したいんですが…。」という相談がクライエントからあった場合、通常の心理療法では、「具体的に悩んでいる内容を詳しく教えて下さい。」とカウンセラーが尋ねるのが一般的です。

 一方、短期療法では、「この面接が終わってもしあなたの悩みや問題が解消できたら、具体的に今とどう違った姿が見えてきそうですか?」という質問を投げかけます。

但し、短期療法が上手くいく前提条件として、自我の強さや問題に対する高い動機付けがクライエントには必要で、粘り強さや有能さがカウンセラーには求められます。

短期療法の技法の種類

 主な短期療法の技法としては、次のような種類があります。

  1. スケーリング・クエスチョン
    漠然とした抽象的な悩みや問題を具体的に認識できる切っ掛けを得るために、現在抱いている思いや感情を数値化して表現してもらう技法を言います。
  2. ミラクル・クエスチョン
    具体的に悩みや問題が解消できた将来像を頭に思い描きながら、解消できた状況と同じ行動を実際に行ってもらう疑似体験を通じて、考え方ではなく、感情面から変化させ問題を改善していこうとする技法を言います。
  3. 問題の外在化
    現在悩んでいる問題は、クライエント本人だけに属する問題ではないことを意図的に意識させ、クライエント自身に、この問題はいずれ解決でき切り離すことができる可能があるという前向きな意思を芽生えさせる技法を言います。
  4. 例外探し
    クライエントには悩みや問題が何も起こっていない時間帯やその時の状態を探し出してもらい、問題に悩んでいる時の自分とは、具体的にどのような違いがあるかをイメージしてもらうことを切っ掛けにして、心の変化を促そうとする技法を言います。

以上のように、短期療法は、クライエントの要望や時代背景の流れに沿った新らしい心理療法ともいえます。

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